江津の山辺神社祇園祭と言えば、私の子供の頃は、近郷近在から多くの人が集まる、地域の一大イベントだった。学校は休みになるし、大人も子供もワクワクしながら祭りを待ったものだ。当日は、今は廃線になった三江線の臨時列車が出るほどだった。江津駅から、山辺神社まで屋台が並び、昼に行われるホーランエーヤの船神事は、当時日本の10大船神事と言われたほどだった。私が13歳で東京に出て30歳で帰ってきたときには、その面影はなく、むしろお盆の花火大会が地元のメーンイベントになり始めていた。祭りは、地域の歴史、文化、伝統、風習などを色濃く反映していたが、花火大会は、ただ物珍しい見ものとして徐々に大きくなっていった。私には同時に行われる灯篭流しの方がはるかに情緒があり美しいと思ったものだ。時は移り、今は祇園祭は見る影もなく寂しい神事になってしまっている。もう一度これに、往時の賑わいを取り戻し、皆が江の川の恩恵を想い、歴史を振り返り、今は亡き人達を偲ぶ良き機会となる神事になって欲しいと思うのは、私だけでは無かろう。
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